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私設図書館が全国で増えています。自治体による公営の図書館ではなく、個人や団体がそれぞれのこだわりで作った図書館です。2024年3月下旬に静岡・富士市にも「ワンダー図書館」がオープンしました。どんなシステムで、どんな方が利用しているんでしょう。
借りるのは無料でも貸すのは有料?!
このワンダー図書館、本を借りるのは図書館なのでもちろん無料。初回の登録料として300円はかかりますが、それ以降は5冊までを1カ月間無料で借りられます。
どうして無料で貸し出せるのでしょうか? それが私設図書館の一番大事なところ。本をそろえること自体がビジネスだからです。
このワンダー図書館では、全部で56ある「本棚」をひと月2200円で貸し出し、その棚のオーナーになった方が、貸したい本をそこに並べていく仕組みです。
どんな本が並んでいるんでしょう? それぞれの本棚を見てみると、流行の小説や実用的な指南書、少年少女向けの本もコミックスもそろっています。
さまざまなジャンルの本が並びますが、これらの本に共通するのは、全てが一度人が手に入れた本だということ。
一度は自分のものにした本を、誰かに読んでもらいたい、という気持ちで棚を有料で借りて置いているのがこのワンダー図書館の大きな魅力。
つまり「お金を払ってまでも、お勧めしたい本」ということで、誰かの熱い思いがこもった、本当の意味でのお勧め本ばかりが並んでいます。
本棚のオーナーは本好きでもあります
本棚のオーナーには、どんな人がなるんでしょう。ワンダー図書館を立ち上げた、金指祐樹さんに伺いました。
ワンダー図書館・金指祐樹さん:
いろんな方がいますが、地域を盛り上げたい方が多いです。地域活性化の団体を主催される方や市議会議員の方、個人事業主の方など、地域で頑張りたいと考える方が応援という意味でオーナーになってくれますね。本棚に仕事関連の本を並べることで、事業のPRにもなっているようです
共通するのは「本が好きな人」であることです。
人の本棚を見る機会はあまりありません。「自分が好きな本を誰かに勧めたい、見てもらいたい」という思いが誰しもあるのではないでしょうか。
本を借りるのはどんな人?
貸す側ではなく借りる側にも話を聞きました。この日、この図書館に初めて足を運んだという石川莉々さん。本が大好きな小学5年生です。
石川莉々さん:
(Q.1週間に何冊ぐらい本を読みますか?)
学校の図書館で借りる本は、1週間に6冊は必ず読んでいます。家でも読んでいるので、9冊ぐらいは読んでいます。1日に1冊は読めちゃいます
石川さんがワンダー図書館で見つけたのは矢部太郎さんの「大家さんと僕」という本です。
石川莉々さん:
いろんな方がおすすめしてくれる本がこの小さな空間にまとまっているので、使いやすいと思います
本を通して人と人とをつなげたい
金指祐樹さんは、ワンダー図書館に来れば、商業的に成功した本だけでなく、知られていない、マニアックだけど面白い本に出会えると話します。
ワンダー図書館・金指祐樹さん:
一時「本のソムリエ」が流行りましたが、自分じゃ絶対調べないし出会わないジャンルでも、きっと読んだら面白い本はいっぱいあります。そういう絶対自分だったら買わないし出会わないけど、ちょっと読んでみようかなっていうものに出会って欲しいです
そして金指さんがワンダー図書館を通して目指すのは、すてきな本との出会いだけでなく「人と人とのつながり」です。
ワンダー図書館・金指祐樹さん:
本との出会いは、人と出会うのと一緒で、偶然のタイミングです。本を通して、人と人とのつながりを得てもらいたい、そんな気持ちでやっています
情熱あるオーナーたちが「お金を払ってまでも読んで欲しい」超絶にお勧めの本。そんな本を借りられる「ワンダー図書館」。
私設図書館は、静岡県内では焼津、沼津、三島、伊豆地域などにあります。お住まいの地域の近くにもあるかもしれません。
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たまにはスマホを置いて、ここのおすすめ本を読んでみませんか。きっといい出会いがあるはずです。本棚オーナーも、まだ少し募集があるようです。店番も募集していますよ。
■施設名 ワンダー図書館
■住所 静岡県富士市本町8-4 2F
■営業時間 11:00~17:00
■定休 月・火 ※不定休あり
取材/中村浩一郎
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